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その名はキーフ。儚げダークな美しきこの世界。

Category : アルバムジャケット考
忘れた頃のアルバムジャケット話。
もう去年の暮以来のアップ。
この人を上げねばジャケファンから総スカンを食う。
キーフと言えばブリティッシュ・ロック。

CDの紙ジャケ復活というのは、
いわばミニチュアを手にしているようなもので
あの頃の実感こそ伴わないが、紙であるという触感や上下を押さえて開ける
懐かしい行為そのもの、それと店からいそいそと帰って
一刻も早く針を(その前に心構えが要る)下ろしたい気持ちを抑えた
往事の思いが高揚感と共にささやかによみがえったりする。
そんな機会に恵まれてキーフのジャケットも目にすることができる。

キーフは写真家である。
今まで紹介した写真家の作品と決定的に違うのは
素晴らしいワンショットを狙ってスコーンと完結させたというより、
あの30センチ四方に見事に物語を構築させたその手腕ではなかろうか。
それは確かに湿気や靄(もや)を帯びていて、
そこに登場する人物は謎めいている。
まるで映画のシーンのように背景が生きている。
躍動というのではなくて静謐な中で永遠に消えない種火のような、
見る者の視覚を執拗にトレースさせるような粘っこさや不気味さもある。
見開きデザインも多く、またキーフが手掛けるミュージシャンは皆クセもの揃いだ。
構図の面白さや処理の不思議さは
サクッとデジタル加工されたものとはやはり違う。
画面に味わいが漂う。
ぶらしたり、反転したり、赤外線フィルムを使ったりと
写真家ならではの職人的な小技のキレが生きている。

アルバムジャケット界のカルト的存在のキーフでした。

Affinity.jpg Beggars Opera:Act One

Black Sabbath Colloseum:Valentine Suite

Dando Shaft:Dando Shaft David Bowie:Man Who Sold the World

Fresh Maggots Indian Summer

LED ZEPPELIN:4 Legend:Moonshine

NIRVANA Local Anaesthetic Tonton Macoute

Warhorse.jpg クレシダ:アサイラム

マンフレッド・マン・チャプター3:ヴォリューム2 ロッド/ガソリンアレイ

ネオン・パーク。ほぼリトル・フィート及びまったりと…。

Category : アルバムジャケット考
リトル・フィートは結成はロスアンジェルスのバンドだが
およそステレオタイプなウェストコーストサウンドとは
似ても似つかないグルーヴを持ったバンドだった。
2ndから聴いた僕が彼らの虜になるのにそう時間はかからなかった。
ひとえにライヴバンドとしての演奏のポテンシャルの高さと
ロウエル・ジョージのヴォーカル、スライドギター、
それにR&B、ニューオリンズ、南部テイストのサウンドが
ロス出身とは思えない“タメ”が効いたグルーヴを発散させていたからだ。
段々とジャズやフュージョンの要素が楽曲やアドリブに加わり、
それはそれでスリリングだったのだが
肝心のロウエルが霞んできて、リトル・フィートはねじれてくる。
1979年、ロウエルは自らのソロアルバム発表後に突然の心臓発作で亡くなる。
バンドは現在もライブも精力的に行ってはいるが
YouTubeで見るロウエルの居ないリトル・フィートに
ため息がでるのは僕だけではあるまい。

2003年までの15枚のリトル・フィートのジャケットを手掛けているのが
ネオン・パークことマーティン・ミューラーである。
そもそもリトル・フィートを手掛けるきっかけはフランク・ザッパ。
ロウエルが結成する前に在籍したのがマザーズ・オブ・インベンション。
その「イタチ野郎(Weasels Ripped My Fresh)」の
ジャケットを描いたネオン・パークとロウエルが意気投合。
以後リトル・フィートとネオン・パークは切っても切れない関係になる。
ネオン・パークも1983年に病死している。

ではリトル・フィートでも聴きながら(7回も登場するこの名前!)
ネオンのまったりと奇妙な世界へどうぞ!

1_20101227143047.jpg 2_20101227143113.jpg ←必聴!

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ノーマン・シーフ、スマイル、スマイル、スマイル!

Category : アルバムジャケット考
レコードジャケットの写真編となれば筆頭に挙げなければいけないのが
ノーマン・シーフ。
どんだけ仕事したんだい!というほど撮りまくっている。
この人はアートディレクションもデザインもする。
ノーマン・シーフ風に、なんてオーダーされるほどに
彼なりのスタンダードを作り上げた人。
誰が見てもすぐにわかる写真なんてそうそう撮れるものではない。
ここでは、よく知られたリッキー・リー・ジョーンズや
ジョニ・ミッチェルなどのソロのポートレートではなく、
グループに焦点をあてて紹介したい。
これも星の数ほどあると思うが、どうだろう…
ミュージシャンにある独特の“やさぐれた”匂いがしない。
なんとも無邪気で無防備で解放的。
一緒にバーで呑みたい気持ちにさせられる。
みんなご陽気だ。

複数の人間をタイミングよく狙える、この才能もまた超絶である。
どのメンバーの表情やしぐさもかっちり生きているのに
わざとらしさが見えない。

RockよりもむしろR&B系が多いのも特徴で
彼らのファンキーで茶目っ気たっぷりな表情を実に魅力的に映し出している。
カラーよりもモノトーンが売りのシーフだが、
ここではそれにはこだわらずにアップしてみた。
僕が一番好きなのはなんといってもスライ。

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横尾 忠則。どこまでもどこまでもYOKOO…

Category : アルバムジャケット考
さて、ここいらでそろそろ日本人が登場してもおかしくないのでは、
ということで横尾画伯が手掛けたアルバムジャケットの紹介。
何回も書いてきたことだが、わがココロのボスである。
この人が居なかったらデザインの道へは進んでいなかった。
美術系の大学もデザインの専門学校でさえ諦めたあの時も
持てるだけのスケッチブックを背負子に括り付けて家から出奔した時も、
河原町通りでイラストを売っていた40年近く前も、
北野天満宮の天神さんで同じようにイラストを売っていた時も
横尾忠則という存在そのものが心の支えになっていたように思う。
デザインというフィールドから画家宣言した現在でも
横尾風味は健在だ。
画家としてからの「Y字路」にはガーンとやられた。
あれは素晴らしいシリーズである。
深いんである。
とは言っても好き嫌いのはっきり分かれる人であるのは確か。
興味のない人も(こんなもん作ってたんだ…)と参考として見ていただいたら
いいと思う。
ただサンタナの「ロータスの伝説」の22面ジャケットには
当時みんな度肝を抜かれた。

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 ↑これぞ「ロータスの伝説」の22面の一部。宗教的なテイストは横尾の特徴だった。

その後CDに取って代わり紙ジャケは消滅したが、何年か前に見事に復活。
なにぶん古い年代のものもあり、廃盤もありで
なんとも珍妙なものもある。
YMOの3人のメンバーが決定した後も横尾忠則をメンバーに加えるつもりで
(特に細野さんがご執心だったらしいが)記者会見に呼んだところ、
当日になって「行きたくない」とのことでキャンセルした話は有名である。
アルバムデザインとしてよりも、
横尾ワールドがそのままシフトしたという感じで見てもらえたら…。
今回は多彩な要素が詰まっているので画像はやや大きめで。

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上左から
サンタナ、 マイルス・デイビス
一青窈、 ガスタンク 
山口百恵、サンタナ
雲井時鳥国、 冨田勲
細野晴臣、 アース・ウインド・アンド・ファイアー
山口百恵、 遠藤賢司
尺八による日本侠客伝、 ジョニー大倉



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ウォーホール ← デヴィッド・ストーン・マーチン。

Category : アルバムジャケット考
バブルもはじけ、ほどなくデザイン事務所から独立するという話をすると決まって
「なんで今なのか?」と周りの業界人に言われた。
しかし、そんなどん底状態からだったから怖いものも無かった。
さてどんな屋号をつけようかと
さんざん思い悩んだあげくに「 Office Version 」に決めてから早20年。
とにかく音楽用語から付けたいというのがあっていろいろ探した。
お客様に合わせて、それぞれのスタイルを作ります、といった主旨からだった。
その時の候補に「シンコペーション」もあったっけ…。

さてジャズはシンコペーションの芸術だと言う人がいる。
ジャズに限らずこれが無くては音楽そのものが
たちまち無味乾燥になるほどに重要な要素である。
このシンコペーション、あるいはジャズグルーヴを
見事にレコードジャケットに反映したのが
1913年シカゴ生まれのイラストレーターである
デヴィッド・ストーン・マーチンである。

アンディ・ウォーホールがブルーノート・ジャズのレコードジャケットデザインを
していたこと
は以前紹介したが、
そのウォーホールに多大な影響を与えたのが,
その独特な線が「DSMライン」と呼ばれたデヴィッド・ストーン・マーチンだった。
逆にたどると面白いのは
デヴィッド・ストーン・マーチンの師匠がベン・シャーンであること。
ウォーホールのイラストを見た時、真っ先に浮かんだのがベン・シャーンだった。
映画のタイトルバックで有名なあのソール・バスも
おそらくはシャーンの影響を受けているだろう。
日本では和田誠、山藤章二が自ら影響されたと明言している。

さて本題のデヴィッド・ストーン・マーチンのジャケットのオンパレ。
どうです、このノリの良さ、ジャズだけが持ち得るグルーヴ、
旋律が聴こえてきそうな色彩とペンタッチ!
何はともあれ、お楽しみあれ!

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ナミキ・キヨタカ

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