消化不良のままに…「GOLD WHITE BLACK 椿昇2004→2009」
Category : 現代美術シッタカぶり


2月17日→3月29日【京都国立近代美術館】
やっと最終日一日前に行く事ができた。
まさに「椿昇仕様」になった近代美術館。
毎回違う講師を迎えて、本人が聞き手の講演会が1階フロアであるためか
若い年齢層が圧倒的に多い。大盛況である。
世界的な現代美術家の展覧会とあって注目度が高い。
エントランスホールに寝そべる「マッシュルーム」と銘打った
とんでもなく巨大な大陸弾道ミサイルの実物大バルーンオブジェ。
この手のものが大好きで、のこのこ出かけてしまう僕だが
新聞に大きなカラーで紹介された印象とは違い、妙にファンシーで拍子抜け。
もうすこし「硬質感」が欲しかった。ソフトマシーンといえるような…
ただデカイだけのしろもの。それを狙ってます?
効果の割にコストがかかりすぎてません? 僕が言うのは大きなお世話か。
フライヤーを初めて手にとった時の裏面のこれでもかの文章量に
最初から読む気も失せる。会場で受け取るパンフも同様。
この文をマジメに読んでる人もいたりして、
もう老眼鏡が要る僕は頭を横に振るくらいしかできない。
ガンダムジェネレーションには受けるんだろうか。
椿氏は僕よりひとつ上。
しかし、全くシンパシーを感じないのは僕のキャパが
椿氏のセンス、主張を理解しきれないほどにダサイんだろうと
無理矢理納得させる。
850円の入場料を払わんでもこのバルーンは見ることができる。
じゃあ、2階と3階にさらなる期待を込めて…
エレベーターに淡い期待を抱えつつ…ん?
なんですか、これは…僕にはわかりません。
このスタバのマークもじった
椿氏のプロジェクトロゴ「ラジカル・ダイアローグ」って?
新しい国連って? 露天掘り鉱山労働者って?
この館長の展覧会に寄せた
「欲望のメタフィジックス、あるいは理性という欲望の増幅装置」という
コメントもやたら長い。
最後の但し書きはこうだ。
本稿は[椿昇2004-2009]展カタログの主論文[欲望のメタフィジックス【椿昇論】]から[序]の部分に僅かな変更を加えて編集しました。複雑な構造を持つ展覧会とカタログを解読するための重要な[鍵]が含まれています。鑑賞前に通読されることをお薦めします…って…?
通常のフロアを3つ分ほどぶち抜いて、馬鹿でかい12点もの鉱山労働者の肖像画。
デカさで圧倒するの、やめてくれません?
別な部屋では、それぞれ微妙なタイムラグがある三面スクリーンに映る
バングラディッシュの犠牲祭の牛を殺す映像。気分悪い…
先の牛の屠殺シーンを囲むように、なぜか黄金のスタバマークがゆっくり回る。
普段だったら目を伏せて逃げていく女性も、ここではしっかり見てたりして…
それ、変でしょ。「善が生産する膨大な負の遺産(宗教…)」とあるが
その意味たるや不明。
新聞の解説にも、このマッシュルームについては確かに書きやすいのか懇切丁寧。
しかし、これはほんの掴みですよね。なんたってタダなんだから。
しかし上は見るべきものがなかった。理解できないんですね、やっぱり僕には。
長い解説付きの現代美術なんて、僕の最も嫌いなもののひとつですから。
なんだか訳知り顔で出て来る人たちに片っ端から訊いてみたい気分になる。
作者が勝手に自己完結してしまっては取りつく島もない。
ヤノベケンジのような明快さと大胆さが僕は好きだ。
風が吹いたら桶屋が…的な現代美術の見せ方は、やはり好きになれない。