モダニズムのパッケージング…「駒井 弘枝 Sunshine Hit Me」
Category : 現代美術シッタカぶり







3月23日→3月28日【GALLERY はねうさぎ room2】
去年の日本での初個展を拝見した折りに
この作品のテイストに妙に惹かれ、
一度ご本人にお会いしたいと思っていた。
駒井さんは美術大学卒業後、
イギリスのカレッジやロンドン大学で学び、
以後ロンドンに在住のアーティスト。
一見すると建築材のサンプルのようにも見受けられるオブジェは
レトロモダンさと愛らしさがバランスを保っている。
材質であるアクリル板の持つ一種の合理的イメージやスリットの入った鏡、
そしてウォールナットという名称で親しまれる胡桃材の落ち着いた肌合いとの
取り合わせは、工業製品にありがちなクールな印象でなく
あくまで人が関わるという延長線上にある。
作家が強く興味を惹かれる「建築物」という
街並みを構成する重要なファクターは常に時代を先取りし、
その時々のモダニズムを形成してきた。
その部分的なエキスを抽出して組み合わせ、
ミニマルアート化したものと言える。
形、色、素材、そこに至る歴史や
住まう人々との関係性を集約した
“都市風景の三次元コラージュ”と表現する作家自身の言葉が
その思いを伝えている。
作品の色彩自体は作家自身が造り上げたものではなく、
その色のマテリアルを加工している。
僕などはそこに建築との共通項を見てとる。
自由曲線の全くない、というより許されない“実直さ”もまた然り。
建築は様々な要素が様々に折り合い、
そこで生活したり仕事をしたりするという場に
ふさわしい器にならねばならない。
そして京都には教えられなければ、知らずに通り過ぎてしまう
ガイスト・スピーレン(知的遊戯)と言われる
建築家自身の精神性を反映した建築が点在し、
今もなお活かされて伝統建築と見事に共存している。
またブルーノ・タウトが絶賛した桂離宮に代表される
単なる建築モダニズムの概念を越えた、
空間芸術にまで昇華した傑作も多い。
駒井さんは京都生まれの京都育ち。
近代建築にこれほど惹かれてるのは
そういった条件、環境が潜在的に組み込まれ、
バックボーンとなり、造形創出の礎となっているからである。
伝統建築にある見事なまでの構成力を
ぎゅっと凝縮し、パッケージングした
現代美術的な家具的オブジェは
見飽きないキュートな横顔を持っていた。



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