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初夏、道形に歩く…「久野隆史/絵 ~山のかたち 雨のかたち~」

Category : 現代美術シッタカぶり
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↑いずれも「うつわ」と題された3点

5月18日→5月23日【ギャラリーマロニエ GALLERY 3】

「みちなり」という言葉。実は「道形」と書くと知った。
その道のままに沿うこと…つまり道が“導いて”くれるような道である。
大好きな道はいくつかあるが、中でも地元ということで
金閣寺から龍安寺、仁和寺へと続く約2.5kmの
通称「きぬかけの道」は単に西大路から一本はずれた道なのに
四季の移ろいを逃さないロケーションにある。
御室仁和寺の創建者・第50代宇多天皇が
真夏に雪見を思い立ち、衣笠山に白い絹を掛けたという故事により
衣笠山はきぬかけ山と言われていたことからつけられた道の愛称。
由来も中々に雅やかだ。

こんもりとしたフォルム、
遠目から見る、柔らかな厚みを感じさせる色合い、
近くから見る“目で触る”ような肌合い。
どれもが簡潔で美しい。
威圧するような睥睨するような山々ではなく
心の片隅にいつもあるような近しい山。

作家は3点の作品にどれも同じ「うつわ」という題をつけている。
尋ねてみると、
手で器を覆うような安心感と愛おしさを山に感じるからだと仰る。
山の形そのものは“逆うつわ”であるが
なるほど山に対する心情が深く表れたタイトルである。

空の色は暗いのに、なぜか優しく明るい印象を受けるのはなぜだろう。
山肌は日本の古典文様のモチーフと重なる
シンプルな記号化されたもの。
まるでいにしえ人が描き残したアイコンにさえ思えるほどに
大昔からそこに当たり前にあったような山々を
ことさら大袈裟にでなく、淡々としみじみとした目線で
描いている、そんな感じを受ける。
あくまで対象を優しく捉えたその絵は
見る者を安心させる不思議な清浄感に満ちている。

もう一つの「雨のかたち」は縦長2つの作品で
絵の延長戦上にある上下の立体物が
雨が射す方向を、生地を折り返しに表したもの。
決して主張しないアクセントになっていて、とても「粋」である。

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個展に「絵」と付けたその楚々とした作家の姿勢と面差し、
そして豊かな表情を見せる「寡黙な山」の佇まいが
木々の放つ匂いまで運んでくる素敵な日本画である。

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