シャッター開けっ放しから見える風景…「 “ night wandering drawing ” 中島 麦 」
Category : 現代美術シッタカぶり
1月24日→1月29日【 ギャラリーはねうさぎ 】


電車の四角い窓から見える沿線に貼り付く光景は
秒単位の記憶しかもたらさない。
しかし、まるで定規に烏口を沿わしながら
正確に引こうとする線のように
時間と平行に誠実に僕たちの目の前を通り過ぎる。
中島麦さんは電車から見る景色が好きだ。
僕と中島さんがもし一緒の電車に乗っていたとして
果たして駅から降り立った時に互いに語る風景観(感)は
全く違うんだろうなぁと思ったりする。
というのも「絵を描く事は、はっきりしているようで
とてもあいまいな世界を手ざわりのある距離に実体化していく作業、
記憶の記録です」という中島さんの言葉に表れているように
もっと平たく言えば、その“あいまいさ”に
カタチを与え、色をのせていき、
あるいは削ったり、足したり、焼いたり、割ったりしながら
あいまいさが次第にあいまいでなくなり、
作家の人となりがそこに体現されるものであるからだ。
僕は幸か不幸か美術家としてのセンスも技量もないので
余計にそこに、あぶりだされた“モノ”に、
ただただ魅力を感じ、とことん魅惑される。
ファイルにあったアートライター酒井千穂さんの文中の
「日本全国をほぼくまなく旅していることが明らかな地図帳」や
「何冊ものスクラップブックに整然と貼られた、
購入した服のタグやタバコのパッケージなど…
一体何年分だろうか…」といった“丁寧な行為”の感覚は
呼吸に近いものであると語っている通り、
ことさらに描くことを一つの「仕事」とは声高には言わない。
それは中島さんの日常行為にもれなく付いてまわる必然。
網膜に映写された風景を辿りながら、あるいは映した写真を見ながら
ひたすらドローイングをしていく様、
そのものが生活の一部であるというスタイルは
潔くて恰好いい。
中島さんは風景の中に中島さんのフィルターを通った
ひとつの確定要素、また逆におぼろげな不確定要素を
収集しているのかも知れない。
誤解を恐れずに言えばそれはカラッとしたポエティックな印象。
見た人が見た人なりの速度や温度を感じ取る。
何より魅力的なのは正方形の窓に構成されるトリミングの妙。
そしてその色彩。
中島さんの少しずつの“動き様”が見てとれる、
それでいてこれほど自然体でフリーフォームな感覚が
うらやましくなる展覧会だった。


過去ログ↓
http://den393.blog81.fc2.com/blog-entry-244.html


電車の四角い窓から見える沿線に貼り付く光景は
秒単位の記憶しかもたらさない。
しかし、まるで定規に烏口を沿わしながら
正確に引こうとする線のように
時間と平行に誠実に僕たちの目の前を通り過ぎる。
中島麦さんは電車から見る景色が好きだ。
僕と中島さんがもし一緒の電車に乗っていたとして
果たして駅から降り立った時に互いに語る風景観(感)は
全く違うんだろうなぁと思ったりする。
というのも「絵を描く事は、はっきりしているようで
とてもあいまいな世界を手ざわりのある距離に実体化していく作業、
記憶の記録です」という中島さんの言葉に表れているように
もっと平たく言えば、その“あいまいさ”に
カタチを与え、色をのせていき、
あるいは削ったり、足したり、焼いたり、割ったりしながら
あいまいさが次第にあいまいでなくなり、
作家の人となりがそこに体現されるものであるからだ。
僕は幸か不幸か美術家としてのセンスも技量もないので
余計にそこに、あぶりだされた“モノ”に、
ただただ魅力を感じ、とことん魅惑される。
ファイルにあったアートライター酒井千穂さんの文中の
「日本全国をほぼくまなく旅していることが明らかな地図帳」や
「何冊ものスクラップブックに整然と貼られた、
購入した服のタグやタバコのパッケージなど…
一体何年分だろうか…」といった“丁寧な行為”の感覚は
呼吸に近いものであると語っている通り、
ことさらに描くことを一つの「仕事」とは声高には言わない。
それは中島さんの日常行為にもれなく付いてまわる必然。
網膜に映写された風景を辿りながら、あるいは映した写真を見ながら
ひたすらドローイングをしていく様、
そのものが生活の一部であるというスタイルは
潔くて恰好いい。
中島さんは風景の中に中島さんのフィルターを通った
ひとつの確定要素、また逆におぼろげな不確定要素を
収集しているのかも知れない。
誤解を恐れずに言えばそれはカラッとしたポエティックな印象。
見た人が見た人なりの速度や温度を感じ取る。
何より魅力的なのは正方形の窓に構成されるトリミングの妙。
そしてその色彩。
中島さんの少しずつの“動き様”が見てとれる、
それでいてこれほど自然体でフリーフォームな感覚が
うらやましくなる展覧会だった。


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