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俗様に飄々と打ち込む…「 高須健市 */※ 」 Metis − 戦う美術 − より

Category : 現代美術シッタカぶり
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4月7日→5月20日【 京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA 】

「どうしたら日々の営みを意義あるアクションに変えてゆくことができるか?」が
本展のテーマだそうだが、つまるところ、映画も演劇もダンスも
それからあらゆるパフォーマンスもこのテーマをそっくりそのまま
ひっくり返したもの、つまり演者がアクションを提供しているということに他ならない。
観客は感涙するほどのシンパシーやのけぞるほどのカタルシスをもらって
いつもの家路にいそいそ帰るわけだ。
1年前だったら到底無理だった。
意義あるアクションって言ったって…それは違う意味にとられかねない。
ただ言えることは、今まで在ったものが一瞬にして無くなったという現実。
“あの”後のこと。
日を追っていくうちに露わになる嘘と戯言、そして忍び寄る不安と恐怖…
まさにプレスリリースにある「社会の自明性の揺らぎへの直面」です。

出展されている作家、作品にどう反映しているかは
観客が身をもって体感するしかない。
それだけに撮影はNGだというのがとても残念。
「観衆との親和性の高い」企画展だったら、
そこに“利害なき悪意なき紹介”も含んでもらえませんかね?
素性はちゃんと明かしますから…また愚痴っぽくなった…。

6人(組)の作家による展示。
やはり各作家が「バリバリ旬」ですからね、
見応えありました。
そこで今回は好きな作家である高須健市さんの作品を紹介。
会場でも流れていた各作家の制作背景やインタビュー映像が
YouTubeでもアップされていたのでここでも紹介します。

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↑2010年 かつての三条ニュートロンにて。壁一面のロゴ、下は抜いた部分が…


一方的な力が働く(としか僕には思えない)過多で異様なブランド信仰とは
そのモノのデザインや機能といった「用」よりも
記号としてプリントされたり縫い付けられたりしたシンボルに
吸い寄せられるように群がる女性の感覚は僕としては今だに謎なんですが、
だったら捨てられたチラシや印刷物をシンボルのカタチに切り抜いて
ギャラリーの壁面一杯に貼ってみたらどうでしょう。
中々にオシャレじゃないですか…ほらオシャレに見えてきた…それは危ない兆候だ。
2年前のバレンタインを間近に控えたこの展覧会で
高須さんを断然気に入ってしまった。
先日の京阪シティモールでの展示もそうだけど、
この人の作風は飄々と漂うようにそれでいてエッジが効いている。



会場エントランスを過ぎた吹き抜けに下がったグラビアページの無数の壁。
外側は男性、内側は女性。
ええ、言いかえましょう、
外側はイケメン、内側はグラドルのオンパレです。
もう、圧倒的な数の…
やろうとすることはどれも面倒くさいことばかり、とつぶやく高須さん。

「※」という名の作品(外側の男性編)は
「※ただしイケメンに限る」というネットワード(って勝手に命名してしまいました)である
常套句がさらに「※ただイケ」「※イケ限」と略され、
最終的には「※」の記号だけで通じる用語になってしまったという由来。
彼らのアイデンティティそのものである天性のイケてる顔は、しかし、無い。
そして内側のグラドルたち。
そう、現在女優である彼女はかつて週刊誌や写真集で惜しげも無く肌を
露出していたグラビアモデルだったっけ…
メジャーになると途端に“無かった”ことのように露出度は一気に下がる。
そう、ぼくはかつて、東てる美の大ファンでした。
「鬼ばかり」の小姑の東さんではありません。
70年代をキラ星のごとく駆け抜けたポルノ女優の東さんです。
知らないでしょうねぇ…知ってる僕はそれだけでお得だと思ってます。

ところで、内側の目にもうるさいほどのグラビアモデルたちは、
これも胸部、臀部、陰部の部分が手で破られている。
僕も鑑賞者の作品参加という主旨に添って、
会場でグラビアページを切り取って、下に切片を密やかに落としました…。
むせ返るような、といいたいが明らかに何かを示唆したと思われる不穏な、
そしてみんなが羨むような、いいオトコの肝心な部分が抜け落ちている儚さ。

徹底的に「俗様」を手玉にとる高須さんの作風。
痛烈な皮肉はその膨大な質量に比例して
いや、高須さんのプランを遥かに超えていきそうな気配すら醸し出す。

市井の人々の“切ない”目線、“そそる”購買欲、
それをジャブジャブと垂れ流すメディアと
都市伝説にも似た流布される情報。
ブランドロゴや性欲の対象を記号化し、はらわたをつかみ出す。
実に痛快なインスタレーションです。
まだまだ日はあります。
是非ご高覧くださいませ。




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