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「 山田 那美 〜 窓を描く 」

Category : 現代美術シッタカぶり
2013. 9/24 → 9/29 【 ギャラリーはねうさぎ 】

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小吹さんもそのバイタリティーに驚かれていらしたが、
神戸の個展から、わずかの間に京都での個展。
実に精力的。
再開したギャラリーからの依頼を受けて、
神戸の個展を京都へシフトせずに新作ばかりを発表するというのは
よくよくの覚悟。
というか、僕なんかは山田さんの“画家としての気風(きっぷ)の良さ”を感じて
拍手を送りたくなります。
実は創作力のバイオリズムというのがあるんでしょうね、きっと…
それをご自分の中で確認しているからこそ、
わざわざ神戸まで見に来てくれた人に同じ内容を移動しただけで展示するのは
忍びないという決心、勇断を持てたのだと思います。
残念ながら神戸の個展は拝見できなかったのですが、
前回、どんどん突き抜けて欲しい、なんぞと勝手な御託を並べてみて、
今回、DMを手に取って、やっぱり俄然見たくなってしまうんですねぇ、実物を。
何を描いたかよりも何を感じ取るか。
芸術、ことに美術は「見る眼、見られる対象」の
絶対的な関係性の上に成り立っているのですから、
作家の意図とは別の見方があってもいいという“素敵で鷹揚”なジャンルです。
2枚の大作は前回の抽象度と比べて、とてもわかりやすいのですが、
ではそこに何を見るかということになると、
「絵には殆ど無い窓」を心に描くということなのかなと思ったりしました。
建築物がアウトラインとしてたっぷりと含まれた色彩の上に
そのエッジを効かせながら張られています。
その奥から、そこに漂う人の気(け)のようなものが見てとれます。
背景のレイアウトに一種のレイヤーのように張り巡らされたラインは
そこに佇まう、小さな鼓動や吐息のせいで震えているようにも見えます。
タイプは様々ですが会場の作品はどれも一貫して、やはり山田さんの画風です。
山田さんは、可愛いとか、キレイとかという反応の向こうに見え隠れする
「ポップさ」についても格別抵抗はされていません。
それが路線に乗るようならそれもいいとおっしゃってました。
これは色使いによるところが大きく、誰もがつい「きれいなブルーですね」と
言ってしまいそうになるのは確かです。
僕もそう言ってましたね。

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芸術を「作る側と見る側」の絶対的関係性に於いて
神経質に語ろうとすると先の「素敵で鷹揚な」性質さえも失われてしまいます。
レコードジャケットやデザインをされる山田さんは
画家としての側面と「生きていくための」仕事としての要素を
しっかり認識されている方ですから、たじろがないと思います。
スタイルは変化し、変容し、変質し、見直し、一巡するかも知れませんが、
「絵描き」としてのスタンスさえあれば、全てはそこから始まり、
そこに帰結していくのではないでしょうか。

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会場の奥にあった作品は思わず、ハッとさせられる、
山田さんのテーマをきちんと示したもので見事なものでした。
いわゆる切り絵なのですが、僕たちは白い切り絵を
黒い影として“見せられる”という、
マジックを体験します。
とてもシンプルだからこそ、このコンセプトが生きてくるのだと実感しました。

巧い人とハイセンスな人とは微妙に違うかも知れません。
巧い人は観客を考えさせないほどの圧倒的な技量でもって肉薄してきます。
のどごしも良く、コクもあるのですがすぐにお腹いっぱいになります。
センスのある人は観客に、作家なりの創作性を展開図のように示すことができます。
考えて、面白がって、得心して、
なおかつ提出期限のない宿題さえ与えることができるのです。

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今、旬な人。
そんな風情を山田さんの絵を見ていると感じます。
そして、ここ何ヶ月はおそらくはノンブレスで
カンバスに向かってらっしゃるであろう印象も強いです。
山田さんの気風のよさと旬を作りだすバイオリズムを感じました。

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