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「 久谷 蔦枝 展 〜 rubbing form out 〜 」

Category : 現代美術シッタカぶり
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2014.12.02〜12.07 【 gallery MARONIE 】

ついに年を越してしまったレビューです。
ずっと気になってたのですがヤボ用にかまけて
ブログ自体もすっかりのご無沙汰です。

久谷さんとはこの個展の前に
別な方の個展で初めてお会いしDMをいただきました。
失礼ながら久谷さんのお名前も作品も知らずで
しかもDMには大きな葉が一枚あるだけです。
こうした一切の情報を得ずに訪れるレビューも
時々ですがあることはあります。
あえて検索もせずにとにかく行って見てみようと思いました。

初めはそれが何かわかりませんでした。
勿論、葉がえがかれていることはわかります。
しかし、一瞥するだけでは、どうやって、が、わかりません。
いいタイミングで会場にいらした久谷さんから
話を聞いて、愕然としました。
それは美濃の和紙にフロッタージュされたタケニグサと呼ばれる
大きな葉でした。
相当に柔らかい鉛筆で、相当に念入りにこすっています。
結果出来たものは紙に葉を貼ったが如く
葉脈までもが見事に再現されています。
その数50枚以上。
久谷さんはもっと作りたかったと言っておられましたが
葉の鮮度(とでも言えばいいのか)と
制作速度のせめぎあいが数に関係してくるということでした。

久谷さんは元々は現代陶芸をされている方です。
ファイルを拝見すると後期の方では
中身のない包み、わかりやすく言えば、ぶらさげた風呂敷の
中身はそっくり抜け落ちている、そんな作品でした。
質感といい、内容物の形がない空虚さといい、
とても薄い作品だけに鋭利なメッセージ性を感じさせるものです。
そんな久谷さんが「重い土」から少し離れてみようと
この平面作品を手掛けたようです。

展示の仕方もまるで天日干しをしているかのような
いわゆる日本の原風景を彷彿とさせるもので
和紙の強靭さと擦られた鉛筆の黒鉛の堆積が作るものは
(もちろん葉という対象があってのことですが)
どこかに日本人のメンタリティを感じさせるものでした。
それは収穫、豊穣、感謝という農耕民族の後ろにある
風景のようでもあり、強い祈りにも似た
感情の発露のようでもあります。
余談ですが、鉛筆の芯は黒鉛と土です。
結局久谷さんは土からとても近い距離の中で
作品づくりを行っていたわけです。
それにしても作家さんから制作過程を聞いても
なお、これがフロッタージュとはとても信じ難い
奇妙なリアルさに満ちていました。

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