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「 大石 茉莉香 個展 〜 Q0Q0Q0Q0Q0Q0Q0Q0Q0… 」

Category : 現代美術シッタカぶり
2015.06.23〜06.28【 KUNST ARZT 】

この一件はよく覚えています。
この時はすでに20年のフリーのグラフィックデザイナーとしては
難しい時期で、バイトをしながら仕事の依頼を待っているような状態でした。
仕事柄、でしょうか。
この日の丸にひびが入ったアメリカのビジネス誌の表紙について
正直、冒涜や侮辱といった不快感は一切ありませんでした。
では当の被災された方はどうだったのでしょうか。

デザインというものがとかく当事者たちで拡大解釈されて議論されたり、
いわゆる業界のひとたちの間で評価されたり、くさしたりは
その「世界」のひとたちだけの話で、
一般の人は「デザインの評価」なんて関心が薄い話題です。
当のデザイナーたちは例えばグラフィックデザインで言えば
ユーザーの興味とか関心とか注目とかが目的であり、
さらにその延長線上に実質的な売上げの数字が見え隠れし、
広告というものの「効果」に最も意味があるとさえ考えます。

デザインの話になってしまいましたが
日の丸という世界で一番シンプルなアイコンが
こうした“アレンジ”を施された、そのこと自体は
デザインが社会の中でどういう意味を持つものなのかという
命題を突きつけたようで、誤解を承知で申せば
「おもしろい表現」であると思っています。
抗議した総領事館は「大多数の日本国民を落胆させるものだ」と
言っていますが、そんな“イメージによる”落胆を心配する暇があるのなら
暗澹とする現実にしっかり眼を向けて対処すべきです。
果たして国民の誰がこの「問題(にしたのですが)」に怒ったのか。
これはむしろ、その落胆を少なくとも共有し、
なんとか復興することで日本経済を立て直して欲しいとする
気持ちの表れだったのではないでしょうか。
このアメリカ人の「冷静なデザイン処理」は
ひび割れた日の丸を修復させねばとする瀕死の決意表明を
あちら側から考察したものと考えれば
そのまま日本人個人個人にフィードバックし、
思い至らせるものがあったのではないでしょうか。
日の丸をもしマークと考えている人がいたら不謹慎でしょうか。
僕は日の丸に向かってお辞儀をしようがしまいが
個人の自由だと思っている人間ですから
マークでもシンボルでもアイコンでもいいと思っています。
アメリカ国旗もユニオンジャックも相当に
アレンジされてそこいら中の商品に反映されています。
しかし大日本帝國海軍の軍旗として掲げられてきた
旭日旗(今でも自衛隊はこの旗)には抵抗がありますので
代表戦などでサポーターが降るのを見るのは
あまり好きではありません。
自衛隊が日の丸、いわゆる日章旗を掲げないのは
旗によって官民の区別をしているからです。
商船やタンカーなどの民間の船は日章旗を掲げています。

大石さんは「見えにくい情報=事実との乖離・距離感」を
テーマにしています。
今、何が信じられるか。
このタイミングの展覧会なので僕の中で沸々と沸いてくるものがあります。
「マスコミへの圧力」というキーワードが
毎日、活字やニュースで飛び交っていますが
良識に沿った伝達の折り紙の反対側にあるのは
まぎれもないねつ造や作り上げられ“過ぎた”唾棄すべき番組の数々です。
圧力をかける方もかけられる方も目クソ耳クソといった印象です。
ご立派な抗議声明よりも
多くの法制への反対者が居ることをもっと明快に報道すべきでした。
言論への圧力云々と言う前にちゃんと、きちんと伝えるべきことを
伝えてきたのかと、その無神経さに呆れます。

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なんだか展示のことが一向に出て来なくなってしまいました…
そのひび割れた日の丸の記事を超拡大することで粗い表情になり、
事実の曖昧さをも示しています。
これらを連続してザラ紙にプリントし、
さらにそれを繋ぎ合わせています。
個展初日にはライブペインティングを施して
記事の“正体”や内容がモザイクをかけられたように部分的にしか見えません。
操作された情報=マスキングと解釈すると、
この行為によって情報はさらに増幅され、
その意味がかえって浮き彫りになってきます。
紙のつなぎ目に微妙に横に流れる銀色の塗料は
そのままバグッた時のノイズにも見えます。

奥の部屋では壊れた画面が壊れているテレビの展示です。
これだけで一つの個展ができるほどの面白さが詰まっています。
ヤフオクなどでジャンク品を手に入れても
実際に電源を入れなければわかりませんから
いい感じで「壊れた画面」にならなかった
使えないテレビ(使えないの二乗?)もあったようです。
これだけでブログがさらに書けそうな内容でした。
秀逸です。
この気付き…大石さんのアンテナはキラッとしていました。
うーん、もっと書きたいのですが…
では…

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