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「 武田 あずみ 銅版画展 」

Category : 現代美術シッタカぶり
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2015.11.13~11.29【 京都・アートゾーン神楽岡 】

6年ほど前「虹」さんで、
科野和子さんとの二人展で拝見した時の
お二人の対比も面白かったのですが、
5つの言葉を二人が出し合って
10のキーワードから発想された物語を銅版画で「編む」といった
独特の風情がある展覧会でした。
それ以後の展覧会に寄せていただく機会を逸して久しぶりの武田作品は、
やはり、というか、コックリとしていて、
とても洒脱な、しかしちょっとビターな味わいの
素敵な作品ばかりでした。
一点ずつ見ていくというよりも、
お話の一環として見て行くと武田さんの持つ
「銅版画なりの制作主旨」というものと
ストーリーテラーとしての武田さんの才能の相乗作用が起こす、
柔らかにメランコリックで、シニカルで、
ポエティックな魅力に触れることができると思います。
武田さんの銅版画はいわゆる版画の手法による特殊な効果は勿論なのですが、
何よりも画面の構成力の面白さが際立っています。
横長の画面に現れるシチュエーションは
現代人の「横並び横にらみ」感覚と「同じことへの嫌悪」といった趣が同居する
矛盾さや不条理がそこかしこに伺えます、
とは言ってもこれはあくまでシッタカの見立てですが。

最初の画像の作品「365日のテーマ」のテーマ、というステートメントが
掌編小説のようでとても素敵に面白いので全文掲載させていただきます。

「一日のほとんどを椅子に腰掛けて過ごす。
今日は肝心なことがあったはずと目覚めたけれど、
どうにも思い出せない。
うろたえながら食事を済ませ、期待をこめて新聞を眺める。
読まずに捨てた手紙もくまなく読んでみる。
まとわりつく飼い犬の、どこからか現れる羽虫の、
手の中のリモコンの、何がきっかけになるかわからない。
つけっぱなしのテレビからは
もはやこれまで!と絶えず流れているが、
警告は頭を通り抜けるだけだ。
思い出せないまま夜も更けて ああ今日も…と嘆くうち、
気付けば椅子に腰掛けて一年が過ぎている。」

アンニュイ、ってなんだか昔に憧れた言葉でした。
多分若い頃に夢中で観たフランス映画の影響でしょう。
武田さんの作品に漂う世紀末なイメージ、
アールデコな部分や古いハリウッドに代表されるような、
やや倦怠感のうつろう感じが武田ワールドの根幹ではあるまいか、
などとまたシッタカブリアンの悪いクセが出てしまうのでした。

※画像は個展DMよりスキャンしたものです。
会場での撮影画像ではないので
あくまで実物のイメージとしてアップしました。ご了承ください。

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