「 t i m e l a k e ~ 茶の間/庭先 」#1 東郷 幸夫
Category : 現代美術シッタカぶり



2016.03.08~03.20【 Gallery ARTISLONG 】
「timeline」が、一方向に流れる川ならば「timelake」は湖のように時間が溜まり、あらゆる方向に流れ揺らぎながら混ざっていくような時間のあり方。
上記のテーマで2つのギャラリーで総勢11名が展示。全ての作品のレビューをアップするのは正直しんどいので(これがアマたるものですなぁ)ここではピックアップというカタチになりますので、何卒よろしくです。多分、相当日数が過ぎた後もアップされると思います。これは告知でも何でもなく自身の備忘録である、ということで、よろしくです。まず ARTISLONG さんへ伺ってみると、一人西側の庭に向かって机の上に並んだ4つのコップをじっと眺めている初老の男性。これは作品で彼はおそらく作家であると、普通は誰しも思うことでしょう。そうです、やはり彼はこの作品「水〜フィルター」の作者でした。お話しを伺っていると、この方は、どこにも作家とか、美術家とか、見せる側とかの意識をことさらに表明しないスタンスがあって「僕はね、美術的表現とか、芸術だとかね、どうでもいいんです。ただ日々の中で僕のしたいことをやっているだけなんです。これは“表現”でも何でもなく、興味があったらみなさんがしたらいいんです」という、僕はその時に「達観」という不用意な言葉を発してしまいましたが、当の東郷さんは「いやいや、とんでもありません」と相変わらず謙虚過ぎるぐらいな反応でした。東郷さんはこの行為を1983年からスタートさせています。画像を見ればお察しがつくと思いますが4つのグラスに「溜まっている」のは4つの「素材」です。母乳もありました。それらが「東郷仕様」のフィルターセットで濾過されて、その成分の痕跡がフィルターに記録されます。東郷さんは作品(実はご本人は作品という感覚、つまり「見せる=展示する」というものからも実は解放されているのですね)を通じて「関係性」を問うています。あえてそこに作家の強い趣意や創意、作意といったものをできるだけ排除したい、言い換えれば誰にもできる「行為」のひとつとしてでの「意識の確認」を静かにささやかに促しているわけです.東郷さんの言う「美術って何でしょうか?」という問いはロジカルなものでも、かと言って経験値の問題でもないと思いました。あらま、まだお一人目です…※ちなみに「水のフィルター」というキットも貰えました。