「 高橋 顕児 展 〜 自然の息吹シリーズ 」
Category : 現代美術シッタカぶり

2016.08.23〜08.28【 ART SPACE NIJI 】
「音楽のような絵を描きたい」高橋さんの言葉を待つまでもなく、
僕にはサルサやサンバや時折ショーロの響きが聴こえてきます。
規格サイズの作品もありますが、
スクエアな作品がそのままレコードジャケット(CD、ではなく)に
見えてきました。
実は高橋さんは僕よりも4つ先輩なのですがそうは全然見えない若さ。
この作風になってから3年。それまでは至って具象、それも景色です。
誠に勝手ですが、60も越えると新しいことに挑戦することについては
(僕は絵の世界は知りませんが、それでも)かなりの勇気が要るはずです。
高橋さんはほぼ62歳で抽象画への挑戦(ではなくて必然、ですね)をしてなお、
「石の上にも三年、だからあと二年、五年はこの描き方でいきたい」と
おっしゃっていました。
それ以後は、それ、です。
対象=景色に近づくためには最大公約数的な対象の捉え方が必要で、
それは嫌な言い方ですが
万人が「巧い」と思う描き方=実際の景色に限りなく近い、です。
しかし見ている作者の目には「作者ならではの」ものが反映されていなくては、
良く描けている巧い絵にしか過ぎません。
内省的でありつつ(それは光景というもの、花一輪に対して
自分は何を描かんとしているのか、対象を確実に捉えて
「自分の景色」をどうやって画面に落とし込むか、に
全身全霊を掛けているかということ)
高橋さんは「時折感じられる強い湿度=日本人のメンタリティに通ずる」に
ささやかながら抵抗しつつ、
これだけのストロークを叩き付け、ご自身の「自然の見立て」を信じつつ、
その歩を休めることはないでしょう。
会場を真夏のリゾートに変えてしまうほどのご陽気さと共に
移ろいの儚さも同時に感じさせる一種のサウダージも感じます
(とはいっても湿度の低い憂い、というものも想像しにくいのも確かです)と
シッタカぶります。
最近はこういう絵をやっと面白いと思えるようになりました。










